2020年5月20日水曜日

【日本のコロナ騒動と失敗の本質】

【日本のコロナ騒動と失敗の本質】
 ヒトは失敗するものであるが、過ちに気付いた時点で適正に対応する事が傷口を最小限に止める基本である。新型コロナによる欧米の惨状に較べて日本人の死亡者が桁違いに少ない事実を俯瞰的に解析する事によりコロナの本質が明らかになりつつある。詳細は現代適塾のHP (www.inouemasayasu.net/)を参照されたい。
 コロナウイルスには現地の土着株に加えて様々な変異株があり、今回の新型株では弱毒のS型と強毒のL型が主要な役割を演じている。武漢からヨーロッパに伝染した強毒株は現地の人々にスペイン風邪並みの被害を与えて多数の死者を出している。一方、幼児期から複数の土着コロナ(HCoV)により風邪をひきながら集団免疫を獲得してきた多くの東アジア人には新型コロナは少し強い程度の“風邪の病原体”であった。オリンピックや習近平来日の延期決定直前まで超三密状態であった日本では、2月頃に弱毒S株が一過性に蔓延し、3月初旬から強毒のL株が上陸して死者が出始めた。ウイルス防御の最前線は免疫力であり、土着コロナや弱毒株に対するポリクローナル抗体は強毒株にもある程度有効の様である。事実、猛毒株によるSARSでは中国や韓国で8千人もの死者が出たが、隣国の日本では一人の死者も認められなかった。今回は第一波の弱毒株の後に第二波の強毒株が上陸したので日本人には免疫応答するための猶予期間があった可能性も考えられる。その後の観察で新型の強毒株は大半の日本人には風邪程度で済むが、免疫的弱者には“凶暴なウイルス”である事が判明した。新興感染症では想定外の事も起こりうるので、国が早々に指定感染症に認定した事は正しい対応であった。“風邪は万病の源”と言われる様に、高齢者や糖尿病患者などの免疫弱者では重症化してサイトカインストームにより短時間で死亡する事も少なくない。高齢者のみならず国民的コメディアンのバカ殿様や若手力士までが感染死したことをマスコミが取り上げて新型コロナを“凶暴な疫病神”へと格上した。実は勝武士や力士の多くはインシュリンを注射しながら高カロリーのちゃんこ鍋で巨体を維持する“生活習慣病予備軍”であり、スポーツマンでありながら日本人の平均寿命より遥かに短命である。
 現代のグローバル社会では病原体も旅客と共にジェット機で世界を旅しているので、国境封鎖やロックダウンで感染を一時的に抑制しても規制を緩和すれば感染が再燃しうる。人類の宿的である病原体を根絶する事は極めて困難であり、彼らとの痛み分け的共存が現実的な着地点である。感染の拡大速度を緩和して日常生活や経済活動を維持しながら医療崩壊を防ぎ、国民の負担が少ない長期的予防策を強化する事が現実的方法である。事実、死者数や経済的損失が深刻な欧米先進国の中で、高齢者を集中ケアしながら国境封鎖、休校措置、バーやレストランの規制などをしなかったスウエーデンでは、公園に子供達の歓声が響き渡り、経済的損失を抑制しながら日常生活が維持されている。彼らの政策は冷静な科学的見識と政府に対する国民の厚い信頼で成り立っている。この方法は今後のパンデミック対策として基本的なモデルになるでろう。残念ながら俯瞰的視点と科学的羅針盤を持たなかった日本政府は"不確かな感染者数"に一喜一憂しながら社会的同調圧という空気に支配されて迷走してしまった。“和を持って尊しとなす協調的日本人”にとって“補償なき自粛要請をする緊急事態宣言”は手足を縛って泳げと命令するに等しく、多くの国民が深刻な窮地に追いやられて多くの倒産が深刻化しつつある。5月連休明けには強毒株による第二波も収束しつあったので緊急事態宣言は解除すべきであったが、思考停止と空気に支配されて更に延長されてしまった。
 災害時には“切り取られた数値”が独り歩きして人々のバランス感覚を麻痺させ、インフォデミックが常に人災を深刻化させてきた。日本では交通事故で毎年約4000人、インフルエンザで約1万人もの命が失われているが、運転を止めさせたり緊急事態を宣言することはない。シートベルトを締めて安全運転すれば健全な車社会を維持できる。新興感染症でも俯瞰的に対応すれば人命と経済を同時に守る事が可能である。今回の日本は様々な幸運に恵まれて欧米の様な惨状には至らなかったが、世界中で今も誕生しつつある新たなコロナ株による感染再燃の可能性もある。未曾有の犠牲者を出したスペイン風邪でも第二波による被害が遥かに大きかった。日本人が第三波に対しても今回と同様の幸運に恵まれるという保証はない。国を挙げて大騒ぎしたコロナ対策は壮大な空振りであったが、喉元過ぎれば熱さを忘れるのが人間である。今回の“失敗の本質”を俯瞰的に検証して次のリスクに備える事が政府、経済界、および医学会の重要な課題である。土足で家に上がらない日本では、多くの神社に手水舎があり手洗いの習慣が深く根付いている。ハグの代わりに社会的距離で会釈する日本の礼儀作法は無意識的感染予防法でもある。今年は感染予防意識が強化された為にインフルエンザによる死者が80%も減少した。ポストコロナ時代にもインフォデミックや過剰な同調圧に翻弄されず、手洗い・ウガイ・鼻洗浄・トイレの消毒を怠らずに高齢者や免疫弱者を集中的にケアしながら豊かな日本文化を取り戻して心の免疫力を強化したいものである。(文責・井上正康)

2020年4月29日水曜日

コロナの正しい怖がり方

「コロナ風邪の正しい怖がり方」
 武漢で生まれた新型コロナウイルス感染症COVID-19は瞬く間に世界へ広がり、数ヶ月間で30万人以上の人々が死亡した。一方、オリンピックや習近平訪日の延期決定直前まで多数の中国人旅行者達と超三密状態であった日本では緊急事態宣言が出される以前から死者数が200人以下と桁違いに少ない事を世界は不思議がっていた。欧米諸国を戦慄させているコロナ感染症は“風邪の仲間”であり、将来的には“武漢風邪”として感染史に刻まれるであろう。日本人の多くは風邪の原因であるヒト型コロナウイルス(HCOV)に古くから感染しており、コロナ風邪に対してある程度抵抗力がある。しかし、“風邪は万病の源”なので抗癌剤治療者や免疫に問題のある高齢者では重症化して肺炎やサイトカインストームで重症化して死亡しうる。これは“新型コロナ”でも同様である。人類永遠の宿敵である感染症を根絶する事は困難であり、彼らとの条件付き平和共存が現実的な着地点である。土足で家に上がらない日本では多くの神社に手水舎があり、手洗いの習慣が深く根付いている。握手やハグの代わりに会釈する日本の礼儀作法は無意識的感染予防法である。日本ではインフルエンザで毎年約1万人が亡くなっているが、予防意識が広まった今年はその発症数や死者数が80%も低下した。新興感染症では予想外の事も起こりうるが、過度の自粛は生活習慣病、鬱、社会経済の崩壊などでウイルスの実害よりも遥かに重篤な人災を深刻化させうる。メディアが煽る恐怖心や過剰な同調圧に翻弄されず、コロナを正しく怖がりながら“手洗い、ウガイ、鼻洗浄、トイレの清掃消毒“しながら免疫弱者を集中ケアしながら健康な日常生活を維持して心の免疫力を強化する事が大切である。

2020年4月18日土曜日

【武漢風邪とコロナのインフォデミック】
 パンデミックの最大のリスクはメディアが煽るインフォデミックとパニック反応である
 新型コロナウイルスの感染症COVID-19は瞬く間に世界へ広がり、僅か3ヶ月で米国、イタリア、スペインなど200ヶ国以上で180万人の感染者と11万人の死者を出した。その後も感染は拡大し続けており、国境封鎖やロックダウンなどで世界中がパニック状態に陥っている。日本でも約7000名の感染者と132名の死亡者が確認され、4月7日には関東、関西、博多地域に限定した非常事態宣言が出され、9日後にはそれが全国に広げられた。COVID-19は“武漢風邪”と言われる風邪の仲間である。風邪の原因ウイルスとしてはライノウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス(HCOV)などが古くより知られており、日本人の大半は幼児期に感染して抵抗力を獲得している。その為に感染しても多くは無症状で経過するが、“万病の源”と言われる風邪をこじらせると重症化して肺炎で死亡しうる。百年前にパンデミックとなったスペイン風邪は世界中を震撼させたが、その後もSARSやMARSなどの新型ウイルスによる特殊な風邪が50回近く発生している。“武漢風邪”の多くは無症状であるが、基礎疾患があったり免疫弱者の高齢者で重篤化すると間質性肺炎を起こす。
 感染症は人類永遠の宿敵であり、それを根絶する事は不可能である。新興感染症は免疫のない人々に発症し、多くが感染して集団免疫が確立されると流行が下火になる。しかし、季節性インフルエンザでも毎年米国で数千万人が感染して約3万人が死亡し、日本でも約2千万人が感染して1万人が亡くなっている。武漢風邪の死亡率(0.1~10%)は国により大きく異なり、先進国では日本の死者数が著しく低い事が注目されている。これと関連してWHOのテドロス理事長が“検査・検査・検査”と連呼した内容を誤解したメディアや自称専門家達が“日本のPCR検査数が少ない事が問題であり、欧米同様に増やすべきである”と主張し、これに煽られた野党連合が“PCR検査拡張法案”を国会に提出した。しかし、抗体検査と異なり、感度や特異度が低いPCR検査は偽陽性や偽陰性が多いので多数の無症状者をスクリーニングするには不向きである。肺炎症状のある患者でウイルスの同定に利用するのが基本であり、海外で実施されている“ドライブスルー方式”などは政治的パフォーマンスの要素が強い。事実、偽陽性率が高い事から中国でもPCR検査は診断基準から除外されてしまった。ウイルス性肺炎はCT画像でスリガラス様の所見を呈するので容易に診断可能である。この装置は高額であるが、世界の30%もが日本国内にあり多くの病院で利用できる。CT画像で間質性肺炎が確認された患者を中心にPCR検査をすれば十分である。又、ウイルスが陽性である事が分かっても特効薬が無い現状では基本的治療方針は変わらない。
 百年に一度のパンデミックに対応可能な医療インフラを常備しておく事は不可能であり、非常時には手持の武器で臨機応変に対応する事が基本である。パンデミックでは死亡者を減らすことが最重要課題であり、医療の基本に立ち返って行動することが大切である。集中治療室(ICU)が少ない事が医療崩壊の原因になると危惧されているが、日本には高度治療室(HCU)、冠疾患治療室(CCU)、脳卒中集中治療室(SCU)など、ICUに匹敵する優れたインフラもある。これらは武漢風邪の重症患者にも利用可能であり、医療崩壊を阻止する有力な武器となりうる。緊急時にこそ柔軟で俯瞰的な思考力が必要である。
 日本では緩い自主規制であるにもかかわらず緊急事態宣言以前から人口当たりの死者数が極めて少ない事が不思議がられている。土足で家に上がらない日本では、何処の神社にも手水舎があり、手洗いの習慣が根付いている。握手の代わりに会釈してハグやキスの習慣も少ない日本は感染リスクの低い国なのである。同じく緩い規制で日常生活を続けているスエーデンの人口は日本の10%以下であるが、死者は110人で死亡率は10倍も高い。しかし、国境閉鎖やロックダウンを行った隣国ノルウエーやデンマークと対照的に、スエーデンでは適度な社会的距離を維持する注意喚起のみでパブやレストランは営業しており、幼稚園や小学校も通常通りで公園には子供達の遊ぶ声が響いている。このスエーデン方式は長年に渡りノーベル賞を厳選してきた科学者の洞察力や成熟した民度に支えられている。日本とスエーデンの社会環境は大きく異なるが、緩やかな対応では類似している両国のコロナ収束後の結果はインフォデミックによる人災を最小化する為の羅針盤となるかも知れない。感染予防の基本は“手洗い”と“集近閉の回避”であり、今年は手洗いが徹底された為にインフルエンザの発症数や死者数が激減した。新興感染症では想定外の惨事も起こりうるが、過度の自粛が長期化すると鬱や生活習慣病を深刻化させかねない。メディアが煽るインフォデミックや過剰な同調圧を排して適度な社会的距離を保ちながら俯瞰的思考力と心の免疫力を強化したいものである。

2020年3月22日日曜日

【スペインの貴夫人とコロナのインフォデミック】
 パンデミックの最大のリスクはメディアによるインフォデミック”が恐怖心とヒステリー反応を暴走させる事である。
 2019年暮に新型コロナウイルスCOVID-19が武漢を襲い、瞬く間に世界中へ拡散した。20203月中旬にはイタリア、イラン、韓国などを含む150ヶ国以上で約21万人の感染者と1万人以上の死者が確認された。日本でもクルーズ船を除く814人の感染が確認され、高齢者を中心に24名が亡くなった。その後も感染は拡大し続けており、多くの国々が非常事態宣言や国境封鎖などで大混乱している。現時点ではCOVID-19の見かけの死亡率(1~3)はインフルエンザ(0.01%)より遥かに高いと思われているが、PCR検査をしてない無症状感染者も多いので実際の致死率はもっと低いと考られる。ヒト型コロナウイルスでは古くから4種類(HCOV)が知られており、大半の人は幼児期に感染して抵抗力を獲得している為に多くは無症状で経過するが、運悪く発症すると風邪に罹った事になる。"風邪は万病の源"であり、COVID-19でも特に高齢者の肺炎が高リスクとなっている。2002年広東省で発生して約8000人の罹患者中800人が死亡した重症急性呼吸器症候群(SARS 死亡率10%)及び2012年に中東や韓国などで約2500人が感染して860人が死亡した中東呼吸器症候群(MERS 死亡率40%)を加えると、COVID-19 (2種類)7番目のコロナウイルスである。
 人類の歴史は感染症との戦いであり、病原体は永遠の宿敵である。100年前に猛威を振るったスペイン風邪ではウイルスが米国カンザス州で兵士に感染し、シカゴからボストンを経由して第1次大戦中のヨーロッパへ運ばれて瞬く間に世界へ広がった。当時の世界人口は約15億人であったが、約5億人が感染して1億人以上が死亡した。この情報が戦時報道管制の無かった中立国スペインから発信された為に、米国生まれでありながらスペインの貴婦人と呼ばれた。この貴婦人は軍艦に乗って遥か極東の島国にも訪れ、横須賀港から日本に上陸して全土へ広がっていった。当時の日本人口は約5.500万人であったが、短期間に約41万人もの国民が犠牲となった。この大戦では約1700万人が戦死したが、貴婦人の犠牲者はそれを遥かに上回っていた。この貴夫人により徴兵可能な男子が激減して大戦の終結が早まったとも言われている。感染症は軍隊に付いて来ると云われる所以である。
 パンデミックや大災害時には不確かな情報や数値が独り歩きして過剰なヒステリー反応を誘発し易い。COVID-19コロナの仲間である事からメディアに煽られた恐怖心が世界中に拡散され、マスク、消毒用アルコール、トイレットペーパーなどが店頭から消え、病院の必需品まで不足する事態に陥り、入国制限、外出禁止、経済活動の自粛などで世界恐慌的な二次被害を深刻化させている。不特定多数の人々が世界中を駆け巡るグローバル社会では病原体も一緒に旅をしているので空港や国境で彼らを封じ込める事は実質的に不可能である。武漢の貴婦人が短期間で五大陸へ拡散したのもその為である。新興病原体は抗体の無い人々に感染し、突然変異で変化したり集団免疫力が確立されると流行が下火になる。毎年晩秋に目覚めるインフルエンザも2月頃にピークを迎えて桜の季節と共に収束していく。人類と病原体の痛み分けは生物進化の不可避的現象なのである。季節性インフルエンザでは毎年米国で数千万人が罹患して約3万人が死亡し、日本でも約2千万人が感染して3000人以上が亡くなっている。今回のコロナ騒動では手洗いや嗽などの習慣が広まり、昨年と比べて インフルエンザの発症数が 約600万人も減少した。手洗、嗽、過密状態回避が貴婦人への有効で正しいオモテナシなのである。今回は唐突な休校措置が強行されたり大阪〜兵庫間の往来自粛などで混乱が深められているが、インフルエンザでは数千万人が感染して20%以上の生徒が発症した場合に1週間程休校すると有効である事も判明している。 新興感染症では想定外の惨事も起こりうるが、近年の感染症史は人類がそのリスクを確実に軽減してきた事病原体自体よりもインフォデミックによる人災が遥かに被害を大きくしてきた事を教えてくれる。深刻化する世界的インフォデミックに翻弄される事なく「感染症を正しく怖がり冷静に対応する事」が大切である。日本では疾病管理予防センターの設立、デジタル化による遠隔教育、テレワーク、働き方改革、病的過密通勤地獄の解消など、日々の経済活動と共存しうる新時代の感染症対策として有効な課題が山積みである。桜を観る会も些細な国難ではあるが、今春こそ満開の桜を愛でながら心の免疫力を強化したいものである。