2020年4月29日水曜日

コロナの正しい怖がり方

「コロナ風邪の正しい怖がり方」
 武漢で生まれた新型コロナウイルス感染症COVID-19は瞬く間に世界へ広がり、数ヶ月間で30万人以上の人々が死亡した。一方、オリンピックや習近平訪日の延期決定直前まで多数の中国人旅行者達と超三密状態であった日本では緊急事態宣言が出される以前から死者数が200人以下と桁違いに少ない事を世界は不思議がっていた。欧米諸国を戦慄させているコロナ感染症は“風邪の仲間”であり、将来的には“武漢風邪”として感染史に刻まれるであろう。日本人の多くは風邪の原因であるヒト型コロナウイルス(HCOV)に古くから感染しており、コロナ風邪に対してある程度抵抗力がある。しかし、“風邪は万病の源”なので抗癌剤治療者や免疫に問題のある高齢者では重症化して肺炎やサイトカインストームで重症化して死亡しうる。これは“新型コロナ”でも同様である。人類永遠の宿敵である感染症を根絶する事は困難であり、彼らとの条件付き平和共存が現実的な着地点である。土足で家に上がらない日本では多くの神社に手水舎があり、手洗いの習慣が深く根付いている。握手やハグの代わりに会釈する日本の礼儀作法は無意識的感染予防法である。日本ではインフルエンザで毎年約1万人が亡くなっているが、予防意識が広まった今年はその発症数や死者数が80%も低下した。新興感染症では予想外の事も起こりうるが、過度の自粛は生活習慣病、鬱、社会経済の崩壊などでウイルスの実害よりも遥かに重篤な人災を深刻化させうる。メディアが煽る恐怖心や過剰な同調圧に翻弄されず、コロナを正しく怖がりながら“手洗い、ウガイ、鼻洗浄、トイレの清掃消毒“しながら免疫弱者を集中ケアしながら健康な日常生活を維持して心の免疫力を強化する事が大切である。

2020年4月18日土曜日

【武漢風邪とコロナのインフォデミック】
 パンデミックの最大のリスクはメディアが煽るインフォデミックとパニック反応である
 新型コロナウイルスの感染症COVID-19は瞬く間に世界へ広がり、僅か3ヶ月で米国、イタリア、スペインなど200ヶ国以上で180万人の感染者と11万人の死者を出した。その後も感染は拡大し続けており、国境封鎖やロックダウンなどで世界中がパニック状態に陥っている。日本でも約7000名の感染者と132名の死亡者が確認され、4月7日には関東、関西、博多地域に限定した非常事態宣言が出され、9日後にはそれが全国に広げられた。COVID-19は“武漢風邪”と言われる風邪の仲間である。風邪の原因ウイルスとしてはライノウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス(HCOV)などが古くより知られており、日本人の大半は幼児期に感染して抵抗力を獲得している。その為に感染しても多くは無症状で経過するが、“万病の源”と言われる風邪をこじらせると重症化して肺炎で死亡しうる。百年前にパンデミックとなったスペイン風邪は世界中を震撼させたが、その後もSARSやMARSなどの新型ウイルスによる特殊な風邪が50回近く発生している。“武漢風邪”の多くは無症状であるが、基礎疾患があったり免疫弱者の高齢者で重篤化すると間質性肺炎を起こす。
 感染症は人類永遠の宿敵であり、それを根絶する事は不可能である。新興感染症は免疫のない人々に発症し、多くが感染して集団免疫が確立されると流行が下火になる。しかし、季節性インフルエンザでも毎年米国で数千万人が感染して約3万人が死亡し、日本でも約2千万人が感染して1万人が亡くなっている。武漢風邪の死亡率(0.1~10%)は国により大きく異なり、先進国では日本の死者数が著しく低い事が注目されている。これと関連してWHOのテドロス理事長が“検査・検査・検査”と連呼した内容を誤解したメディアや自称専門家達が“日本のPCR検査数が少ない事が問題であり、欧米同様に増やすべきである”と主張し、これに煽られた野党連合が“PCR検査拡張法案”を国会に提出した。しかし、抗体検査と異なり、感度や特異度が低いPCR検査は偽陽性や偽陰性が多いので多数の無症状者をスクリーニングするには不向きである。肺炎症状のある患者でウイルスの同定に利用するのが基本であり、海外で実施されている“ドライブスルー方式”などは政治的パフォーマンスの要素が強い。事実、偽陽性率が高い事から中国でもPCR検査は診断基準から除外されてしまった。ウイルス性肺炎はCT画像でスリガラス様の所見を呈するので容易に診断可能である。この装置は高額であるが、世界の30%もが日本国内にあり多くの病院で利用できる。CT画像で間質性肺炎が確認された患者を中心にPCR検査をすれば十分である。又、ウイルスが陽性である事が分かっても特効薬が無い現状では基本的治療方針は変わらない。
 百年に一度のパンデミックに対応可能な医療インフラを常備しておく事は不可能であり、非常時には手持の武器で臨機応変に対応する事が基本である。パンデミックでは死亡者を減らすことが最重要課題であり、医療の基本に立ち返って行動することが大切である。集中治療室(ICU)が少ない事が医療崩壊の原因になると危惧されているが、日本には高度治療室(HCU)、冠疾患治療室(CCU)、脳卒中集中治療室(SCU)など、ICUに匹敵する優れたインフラもある。これらは武漢風邪の重症患者にも利用可能であり、医療崩壊を阻止する有力な武器となりうる。緊急時にこそ柔軟で俯瞰的な思考力が必要である。
 日本では緩い自主規制であるにもかかわらず緊急事態宣言以前から人口当たりの死者数が極めて少ない事が不思議がられている。土足で家に上がらない日本では、何処の神社にも手水舎があり、手洗いの習慣が根付いている。握手の代わりに会釈してハグやキスの習慣も少ない日本は感染リスクの低い国なのである。同じく緩い規制で日常生活を続けているスエーデンの人口は日本の10%以下であるが、死者は110人で死亡率は10倍も高い。しかし、国境閉鎖やロックダウンを行った隣国ノルウエーやデンマークと対照的に、スエーデンでは適度な社会的距離を維持する注意喚起のみでパブやレストランは営業しており、幼稚園や小学校も通常通りで公園には子供達の遊ぶ声が響いている。このスエーデン方式は長年に渡りノーベル賞を厳選してきた科学者の洞察力や成熟した民度に支えられている。日本とスエーデンの社会環境は大きく異なるが、緩やかな対応では類似している両国のコロナ収束後の結果はインフォデミックによる人災を最小化する為の羅針盤となるかも知れない。感染予防の基本は“手洗い”と“集近閉の回避”であり、今年は手洗いが徹底された為にインフルエンザの発症数や死者数が激減した。新興感染症では想定外の惨事も起こりうるが、過度の自粛が長期化すると鬱や生活習慣病を深刻化させかねない。メディアが煽るインフォデミックや過剰な同調圧を排して適度な社会的距離を保ちながら俯瞰的思考力と心の免疫力を強化したいものである。